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日本初のICHI論文の御報告

2023.02.27

こんにちは、次世代医療構想センターの阿部と申します!

今日は、研究論文についてご報告いたします。
オープンアクセス化しておりますので、是非お手に取ってご覧ください!

WHOのinternational classification of health interventions ICHI1)という国際分類をご存じですか?
ICHIは手術や検査など医療・保健行為の分類基準で、ICD-11やICFと三位一体をなす国際分類ファミリー2)の1つで、2023年5月にWHO総会で承認される(はず)です。
傷病名をコードしているのがICDで、ICHIはこれの医療行為版にあたります。
例えば、脊椎固定術は、ICHIでは「MBV.LE.AA」と標記されます。MBV(脊柱)、LE(固定術)、AA(観血的)と意味を持った3軸構造になっており、外保連試案5)のステム7とそっくりです。
近い将来、DPCはICD-11とICHIであらわされ、医療費、医療市場は国際比較されて展開するものと思います。医療のインバウンド・アウトバンド4)にも、国際的に共通の分類は必須です。
国はデータヘルス計画3)を強く推進しておりますし、アカデミアも頑張らなければなりません!

そこで、公表目前のICHIの速やかな国内導入に備えて、mapping調査をおこないました。
論文「Mapping the Japanese orthopedic association national registry (JOANR) to the international classification of health interventions (ICHI)」がJournal of Orthopaedic Science誌電子版に掲載されましたので、ご報告します。

https://www.sciencedirect.com/science/article/pii/S0949265823000088

たぶん、日本初のICHI論文です。国際貢献?のために、自腹を切ってオープンアクセス化しておりますので、是非お手に取ってご覧いた頂き、国際分類に思いを馳せていただけましたら幸いでございます。

本研究では、整形外科手術149術式について、Kコード➡ICHIコードへの変換を試みています。
ICHIコードはICD-11コードを併用すると、整形外科手術レジストリ(JOANR)の登録コードと80%以上の互換性を得ることが示されました。もしも、ICHIに内視鏡手術のコードが充実すれば、95%以上の相同性が出せることがわかりました。
相同性(互換性)が100%ならば、日本の手術レジストリがICHIに即時変換することが可能となり、国際間比較可能なデータに変換可能となります。更に、国内の医療費請求の区分コード(Kコード)を、国際分類コードICHIで置き換えることが可能になります。

この論文の電子版がネット掲載されたことにより、すでに、WHOの委員会から、ICHIでの内視鏡コード拡充を検討するとのコメントをいただいています。
時代は、私どもが認識するよりもスピード感を増しているようです。
今後、他の外科領域やリハビリ介護の領域へのICHIもマッピングを行って参りたいとおもいます。
医療DX!がんばってまいりましょう!

阿部幸喜 特任講師

阿部幸喜 特任講師

ご参考
1) ICHI on line(WHO)https://icd.who.int/dev11/l-ichi/en
2) International classification(WHO)https://www.who.int/standards/classifications
3) データヘルス工程表(厚生労働省)https://www.mhlw.go.jp/content/12601000/000788259.pdf
4) わが国の医療の国際展開のための官民連携の取り組み状況(野崎威功真) https://www.jstage.jst.go.jp/article/jaih/34/1/34_27/_pdf
5) 外保連試案2022 http://www.gaihoren.jp/gaihoren/public/book/book_1_2022.html