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2020年度 活動報告書を公開しました

2021.06.01

次世代医療構想センターの2020年度活動報告書を公開しました。

2020年度 次世代医療構想センター活動報告書

以下より、活動報告書のPDFファイルをダウンロードできます。
全体
本編
1.巻頭挨拶
2.活動の概要
3.新型コロナウイルス感染症対策
4.千葉県の地域医療構想の現状
5.新生児領域
6.救急領域
7.小児領域
8.ICT を活用した医療政策課題への取組み
9.人材育成の取組み
10.県内自治体との連携
11.2020年度千葉医療構想フォーラムについて
12.業績一覧
13.2019年度~2020年度の総括

補足資料
3.新型コロナウイルス感染症対策
4.千葉県の地域医療構想の現状
9.人材育成の取組み

巻頭のご挨拶

 新型コロナウイルス感染症(以下、「COVID-19」)の感染拡大が未だ収束していません。
 2019年8月に開設した次世代医療構想センター(以下、「当センター」)ですが、約半年間「平時」の活動をしたところで、COVID-19の感染拡大に飲み込まれました。それに伴い、2020年3月に予定していた2019年度の活動報告会は「延期」となりました。当時はまだ、ここまで感染が拡大し、長期にわたって継続することは想像しておりませんでした。
 2020年4月には千葉県健康福祉部より、当センターに対して新型コロナウイルス感染症対策本部への参加要請がなされ、センター長である吉村を含め、最大4名が千葉県庁で対策本部の業務に従事しました。具体的には感染者数の予測推計や実際の入院調整、臨時医療施設の設置に関する情報収集などにあたり、現在でもその活動は継続しています。千葉県新型コロナウイルス感染症対策連絡会議専門部会にも毎回参加し、20回以上にわたる全県的な議論に加わっています。
 COVID-19対策を進める上でも、当センター政策情報分析部門が収集した各種情報は有効に活用されました。また、次世代医療構想部門が構築してきた県内医療機関とのネットワークもまた、医療現場と県庁を結ぶ重要なパイプになりました。想定外ではありましたが、当センターが設置されていたことで、わずかかもしれませんがCOVID-19に対する医療提供体制の構築が円滑に進んだ部分もあったと自負しています。その活動の具体的な内容は、本文に記しているのでご覧ください。
 一方で、地域医療構想の推進という目的に関してはかなり苦しかったと言わざるを得ません。対面での会議がかなわない中、千葉県が予定していた地域医療構想調整会議は次々と先送りとなり、少ない回で、しかも書面での開催とならざるを得ませんでした。千葉県に限らず、地方自治体や医療機関がオンラインでの会議環境を整えることが追い付いていないのは大きな課題となっています。
 苦しい中ですが、当センターはオンラインでの個別のヒアリングなど、できる限りスケジュールに沿って研究を進めてきました。後述する通り、新生児・周産期領域での複数回のグループヒアリングが実現し、研究の進展と成果の積み上げを進めることができました。
 2019年度から続く一連の研究活動が評価され、2020年4月からは競争的資金である、厚生労働省「厚生労働省科学研究費 厚生労働科学研究費 地域医療基盤開発推進研究事業 小児科医師確保計画を踏まえた小児医療の確保についての政策研究」に採択されました。千葉県のみならず、全国の小児医療の提供体制の在り方について、広い視野で政策研究を行い、提言していく役割をいただきました。
 さらには2020年10月からは「厚生労働省科学研究費 厚生労働行政推進調査事業費 新型コロナウイルス感染症への対応を踏まえた、地域における医療提供体制の強化のための研究」を実施しました。これはCOVID-19による全国の医療提供体制の影響の実態を把握することにより、今後の全国の医療計画を見直す基礎資料を提供することが目的です。現在、報告書をまとめている最中であり、着実に作業を進めたいと思います。
 このように、当センターの取組みは千葉県のみならず全国の医療政策において未だ満たされていないニーズに応えるものであり、これは困難の続くCOVID-19感染拡大の中で、前向きな要素の一つであると考えています。これまで当センターが積み上げてきた実績に基づいてあたえられた機会ともいえます。
 2021年2月に予定していた2020年度の成果報告会の開催も、緊急事態宣言の最中となり先送りとせざるを得ませんでした。延期は苦しい選択でした。しかし、当センターはこの難局を千葉県にさらに貢献する機会と捉えなおし、多くの医療機関の協力を得て、千葉県そして全国の状況をつぶさに情報収集し、当初計画していた以上に、幅広く、より深く研究が進行しています。その内容、勢いをこの報告書でお伝えできましたら幸いです。
 国や県の進める「医療改革」は差し迫っています。2024年には医師の働き方改革が適用され、2025年までには地域医療構想の実現、2036年には医師偏在の是正が目標と定められています。千葉県庁とともにCOVID-19対策を行いながら、千葉県の医療の未来も見据えて、2021年度の活動も密度濃く、着実に進めていきたいと思いますので、どうぞよろしくお願いします。

吉村 健佑
次世代医療構想センター
センター長・特任教授

下記より、活動報告書の各内容のPDFファイルをダウンロードできます。
全体
本編
1.巻頭挨拶
2.活動の概要2.活動の概要
—2-1 次世代医療構想センターとは
—2-2 メンバー紹介
—2-3 活動年表
—2-4 2020年度の主な活動の紹介
3.新型コロナウイルス感染症対策
—3-1 千葉県における新型コロナウイルス感染症の概要
—3-2 千葉県での当センターの新型コロナウイルス感染症対策に関する活動
—3-3 千葉県の診療科領域への新型コロナウイルス感染症の影響
—3-3-1 COVID-19の現状とCOVID-19への対応
—3-3-2 通常診療への影響
—3-4 新型コロナウイルス感染症への対応を踏まえた、地域における医療提供体制の強化について
4.千葉県の地域医療構想の現状
—「千葉県における地域医療構想に係る機能区分の考え方および急性期病床の必要数に関する定量基準に基づく推計方法についてのレビュー」の概要
5.新生児領域
—5-1 新生児領域における千葉県の現状と課題について
—5-2 新生児領域における千葉県の課題とあるべき医療提供体制について
6.救急領域
—救急領域における千葉県の現状について
7.小児領域
—小児領域における千葉県の現状と課題、あるべき医療提供体制について
8.ICT を活用した医療政策課題への取組み
—ICT を用いて、大学病院の先進的な知見を共有するプラットフォームの開発プロジェクト
9.人材育成の取組み
—次世代医療構想センターにおける人材育成事業の考え方と全体像
—医療ビッグデータを活用した研究セミナーの開催
10.県内自治体との連携
—令和2年度千葉県国保ヘルスアップ支援事業 特定健診・レセプトデータ等分析業務
11.2020年度千葉医療構想フォーラムについて
12.業績一覧
13.2019年度~2020年度の総括

補足資料
3.新型コロナウイルス感染症対策
—3-3 千葉県の診療科領域への新型コロナウイルス感染症の影響
—3-4 新型コロナウイルス感染症への対応を踏まえた、地域における医療提供体制の強化について
—基本票
4.千葉県の地域医療構想の現状
—千葉県における地域医療構想に係る機能区分の考え方および急性期病床の必要数に関する定量基準に基づく推計方法についてのレビュー(概要版)
9.人材育成の取組み
—医療ビッグデータを活用した研究セミナー
—-第1講【入門編】誰でも使える医療ビッグデータの活用
—-第2講【実践編】チームで使う医療ビッグデータの活用