こんにちは、研究員の三保健です。
2025年9月6日に日本災害看護学会第27回学術集会で口頭発表をしてきましたのでご報告をいたします。
センターでの活動と少し離れた内容ですが、自身の研究分野が認知症ケアなのでそれに合わせての演題となります。
演題名:災害時支援を見据えた避難行動要支援者名簿における認知症者把握と情報共有体制の現状
内容:
2040年には高齢者の15%が認知症を発症すると予測されています。
災害時には、認知症の方はその特性から速やかな支援が必要となることは、これまでの東日本大震災などの経験則や、エビデンスからも示されています。
自治体(市町村)は、災害時に支援が必要とされる方(避難行動要支援者)を適切にリストアップし、発災後速やかに必要な支援を行うことが出来るように平時からリストを作成することが求められています。
このリストに載せる条件は、自治体に一任されており地域実態に合わせて決めて良いとされています。しかし、このことで必要な人のリスト収載が漏れる可能性があります。
内閣府の資料を基に、全国1741市町村のデータを分析したところ、リストの収載要件に認知症を明記している市町村は、39市町村(2.2%)にとどまっていることが明らかとなりました。また、39市町村においてもそれぞれ要件が異なっており、「認知症のある方」という市町村もあれば、「認知症高齢者の日常生活自立度がⅡa以上の者」などの条件が非常に多様なパターンで設定されていることが分かりました。
このことは、これまでに集計されたことはなく、発表後には自治体関係者・災害時に支援にあたっている看護職の方々から多数の反応をいただきました。
本発表は自治体の実状を加味した研究ではないため、リストの収載要件をどのようにすれば良いかということまでは言及をしていませんが、少なくとも認知症の方を地域として災害時にどう把握するのかという議論は必要かと考えられます。






